「IA(インフォメーション・アーキテクト)視点のモノづくり」と題された講演を拝聴するのが楽しみなわけですが、ここで坂本さんにご登壇を依頼した理由をまとめておきたいと思います。
DTPや印刷関連の人たちであれば「なんだ、WEBの話か」と言われそうですが、決してWEBだけの話ではないので最初に断っておきます。
坂本さんを知ったのはご自身の著書「IAシンキング」を知人から紹介されて拝読したのが最初です。
それより前から「WEBディレクションをするなら絶対読んだ方がいい」と進められていたのですが、変わりゆくこの世界で「本」を読んだところで…と考えていました。
しかし、いざ読み始めてみると、自分が根本的なことを考えずにやってきたことが理解できたのと、紙の世界も変わらないと感じました。
機会があれば是非お話を伺いたいと考えていたのが、今回の依頼に至った経緯です。
IAとは
IAとは、今回の題目にもあるように「インフォーメーション・アーキテクト」の略。wikipediaに情報アーキテクチャの解説がありましたので引用します。
- 知識やデータの組織化を意味する
- 「情報をわかりやすく伝え」「受け手が情報を探しやすくする」ための表現技術
また、「情報アーキテクチャの考え方自体は、紙面デザインの頃から変わらない。 」
と書かれています。
WEB制作について考えることで見えてくる、今までのモノ作りの問題点
印刷、WEBに限らずデザインという言葉は、ビジュアル的なデザインであったり、ユーザーとのコミュニケーションをデザインするものであったり、操作性などユーザービリティのことであったりしています。では、なぜ写植屋出身の我々(とりあえず自分のこととして)が、デザインに向かなければいけないのか。
それは、ハードウェア、ソフトウェア両面において専門職的立場を失い、印刷価格に巻き込まれるように、我々の仕事の価値・対価を失ったからです。
このような状況下で、10年ぐらい前、WEBでもやってみるかと、始めた人たちも多いのではないでしょうか。
しかし、実際やってみると、WEBはお金にならない、といった声が聞こえてきました。
WEBは、DTP以上に誰でもできるので、DTPと同じ原理で、低価格化が進むことは当然のことでした。
結局、私たちは、業界専用のハード、ソフトに支えられながらモノ作りをしていただけ、ということではないかと思います。
こうなってしまうと、顧客との関係も「安いから」「融通が効くから」となり、企業にとっても働く人たちにとっても、良い環境になるとは思えません。
特にWEBは、紙と違ってデザインや技術の流行の移り変わりも激しいので、新しい提案ができないかと右往左往しながら今に至る、というのが多いのでは無いかと思います。
今わたしたちは、WEB制作に限らず、制作という仕事の在り方を考え直す必要があると思います。
今求められているモノ作り
私たちのモノ作りが、社会的に価値のないものかというとそうではありません。エンドユーザーに提供したい情報を持つ顧客と、情報を待っているエンドユーザーの間を取り持つメディアを提供することは、情報が溢れかえる社会にとって重要な仕事です。
しかし、そこで誰でも作れるようなものを提供して満足してしまっては、質の低下を招くことになり、この業界が活性化することはありません。
今の状態で、紙やWEBのデザインやプロジェクトに携わることへの憧れを持っている若い人たちが目の前にいたら、この業界には夢がある、とはとても言えない状態です。
他の業界も同じかもしれません。現在の薄っぺらい日本経済では、労働もその先にある自分の将来でさえも意味のないものになってしまったのかもしれません。
このような状況から脱却するための「プロだからこそ提供できる価値」が、「IA」によって見えてくるのではないかと自分は思います。
IAでモノ作りを見直す
詳しくは当日のセッションで拝聴するとして、この考えを頭にいれて進めた案件の私的な感想を述べておきます。- ビジュアルデザインはワイヤーに近いレベルで留めて正解
- 情報整理がしっかりしていればビジュアルイメージも大きくぶれることがない
- ビジュアルを先行してしまうとイメージが強すぎて自由が利かなくなる
- 全体像を把握することを重要視すると、細かい事への拘りが薄れる
- 柔軟なスタンスは自由なアイディアを生む
2/19 カンファレンスへのお申し込みはこちらから(申し込み書ダウンロード)。
ご不明な場合は、mkawa@xmldo.jpまでご連絡ください。
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