2008年6月3日火曜日

DTPにおける作業効率の向上の秘訣

「組版」というものの基礎的な流れから教育を受けた人と、そうでない人の決定的な違いは、作業手順にあると思います。

以前、うちの会社で、数人に対して同じ物を作ってもらう実験をしてみたことがあります。
すると、なんと同じネタなのに、人によって4倍もの時間差がありました。
これは、単に「慣れ不慣れ」で切り捨てられない結果です。

分析すると、何が違うのかが見えてきます。
「機能をしっているかどうか(理解しているかどうか)」という違いじゃないの?、と思われがちですが、経験者のうちでも時間差がある。これは何を物語るかと言えば、
もともと組版というものは、組み上げていくものであり、順をおって作業を進めて、ページアップしていくものです。
ところが、機能というかアプリケーションというものにとらわれすぎていると、その操作自体に無駄が発生しているのです。
組版ソフトというのは、手順を少なくできるようにもともとできているはずなのですが、その機能の組み合わせや、手順を間違うと、「行ったり、来たり」して、いつまでたってもページの完成に至らないのです。

本来は、どう組み上げるか?(新規も修正も同じ)を、原稿や仕様をみて頭の中で、イメージすることが大事であり、そのイメージ通りに操作していけば完成するわけです。
だから、機能が豊富になったとしても、それは、プロフェッショナルにおいては、使いこなせればよい機能といえるかもしれないけれど、初心者にとっては、いろいろやってみつつ、データをごちゃごちゃしつつ、なんとか出来上がっていく、ということになって時間がかかるのです。これでは直しも大変です。
作業中に迷っていてはダメだと、いうことです。
DTPになった時点で「作業」なので、早くやろうと思ったら、いかにその流れを止めないか、です。だから、事前の仕込み(考えも含む)が非常に大事であるということです。

Don't Repeat Yourself!
同じ事を繰り返さない!

とにかく、
1.画面の拡大縮小は原則禁止。
2.マウスのロールを使ってページをめくるなんてもってのほか。
3.すべての操作はショートカットを使う。
4.新規はテキスト前処理重視。
5.正規表現を使えない自分は愚かだと思え。
6.正しいステップで、最短距離で完成できない自分も愚かだと思え。

早い人と、遅い人の作業は、後ろで見ていてよく分かります。
何を作るかイメージできている人は、無駄がないです。
画面の見方、操作の仕方、原稿のめくり方から何から何まで。

同時に、組版のおもしろさとは何か?が見えてきた気がします。
人よりも、早く、正確にやるために、自分の思い描いたとおりに進められたとき…多分そういうところに美学というか面白みを感じられるかどうかだと思います。
ラインやマニュアル化された作業は、外れることができないけれど、DTPは使うアプリの特性もいかしつつ、最善を尽くした手順を自分自身で生み出すことができるというおもしろさがあります。そして、この手順は、「誰にも負けねぇ」というような、井の中の蛙はだめですが、そういう職人気質を出せるもの(出しやすいもの)なんじゃないかと。
そして次はさらに、もっと早くできるようにしよう!と。

そして、これは自動組版への発想に繋がっていきます。

手順があるなら、自動化できるんじゃないか?
何かのルールに基づいて人は動いている訳ですから、会社ルール、お客ルール、自分ルールというのを継承させていくことで、ものが出来上がっていく、そういう面白い物なんだなと、改めて思いました。

0 件のコメント: